「てつっこ」イベントとか、twitterなんかで、「車両はどんな風に描いてるの」を訊かれたので、「こんな感じです」というのを、軽くご紹介いたします。

一番楽な作画手法としては、写真トレースというのがありますね。
これは多くの描画ソフトで「レイヤー」を置いたりとか、ワタシが主に使っているAnimate CCでは「オニオンスキン」というのを使うのですが、それだとかなり手軽に線画が描けます。
ただ、これを使うと描画がもはや「作業」となり、楽しくありません(楽だけど楽しくはない)。しかも、自分の好みの構図で描くのも不可能なので、あくまでも時間に追われて仕方なくやるときくらいです。ええ、全然やってないわけではないです。
もちろん塗りに関してはトレースでは対処できないので、この場合は自分でなんとかするしかないですし。

では何かというと、まずはベースとなるパースを描き、それから参考写真を大量に集め、その場所に相当すると思しき部分にパーツを配置するという楽しい作業(?)です。

ちょうどよい例として、以前テレビで放送されてぶっ叩かれた「なんだこれトワイライトエクスプレスEF81」というのがあったので、これをベースに描いたものを紹介してみます。
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 で、とりあえずオニオンスキンを用いて、パースは「なんだこれ」そのままを使用することにします。ちょっと無理かもしれませんが、これにがんばってパーツを載せていきます。

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前面を左右に2分割します。鉄道車両の前面は、平面に見えつつもわずかに車端へ行くにつれて後退しますので、その線もケガキします。窓の位置はとりあえず「置いて」みることに。デジタルでの描画は、「とりあえず置いてみる」というのが可能ですので、とても楽ですね。

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さきほどより、補助線が増えています。Animateで便利なオニオンスキンを使い、補助線は別のレイヤーらしきものへ置き、前面のパーツを配置していきます。窓の位置が、もう一つ上の画像よりもわずかに下へ降りているのがわかります。

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側面は、ルーバーの数を数えて不均衡にならないよう分割して補助線を描いておくとバランスよく配置できます。

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いきなり飛びましたが、前面〜側面にかけて、ゆるやかなRを描くとそれっぽくなります。連結器まわりのジャンパ管をしっかりと描き込めばよりリアルになります。心が折れそうになる作業ではありますが、「実車をもし製造すると、これの何十倍も時間がかかるのだ」と現場作業員の心情を慮りながら(?)描画を続けます。

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そして線画完成。なんか、これだけでも満足しちゃいそうになるのですが、「塗り」も重要なファクターですので、もう少し頑張ります。なお、ワタシは基本的に線の強弱をつけないので、すべて太さは同じです。好みは0.5くらいです。

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テールランプをよりリアルに見せる方法は、まず紅〜黒の放射状グラデで塗ります。

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その後、半円・白半透明の画像を用意し、さきほどの上に配置します。

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透明度を調整すると、どうですか? なんとなく、本物っぽく見えませんか?(見えねー

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ちなみに影の配置ですが、段差のある部分から下へ向けてグラデーションをかけてやると、よりリアルに見えると思います。境界線に赤い補助線を描き、

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線状グラデーションを塗ります。なんとなく、それっぽく見えます(さっきからそればっか)。

と、こういう細かい作業をちまちまと続けていくと完成するわけでして、
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こんな感じで仕上がりとなります。
さらにこれから、車体の汚れやテカリなどを追加していくと、よりリアルになるのですが、残念ながらAnimate CCはそこまでの細かいグラデーションを投入するのが難しく、ワタシは常時ここで終わってしまいます。
近い将来、IllustratorやPhotoshopを使いたいとは思うのですが、もう10年以上Flash→Animateに付き合っていますので、それも難しいかもしれませんね。